クリッピング警告(白飛び・黒潰れ)

ハイライトクリッピング警告(白飛び)とシャドウクリッピング警告(黒潰れ)の設定を理解して撮影時の参考にしよう

★★★ Raw現像では必須の設定。警告を利用して露出を調整できる。

Camera Raw のクリッピング警告は、写真上で白飛びや黒潰れをしている箇所を視覚的に表示(警告)してくれる機能です。

警告の状態については、RGBで一番左側(0)が黒潰れ、右側の階調(255)が白飛びとなります。詳しくは、Adobe公式のCamera Raw でのカラーおよびトーンの調整を確認してください。ここでは割愛します。

hist03.jpg

ヒストグラムの左右上に「△」のアイコンがあります。

左側が、シャドウクリッピング警告(黒潰れ)、右側が、ハイライトクリッピング警告(白飛び)です。クリックすることでON/OFFを切り替えることができます。(常にONの状態でもいいですが、カラースペースによって階調の最大値が若干異なり警告の色が邪魔な時は、加工毎に切り替えましょう)

写真の白飛び部分を確認する

人間の目では、完全に白飛びしていると思っても(モニターの発色にもよります。)ソフト上では、階調が残っているケースがあります。下記は、ON・OFFを比較した画像です。

Before
After


左の写真が警告をOFFにした状態、右の写真が警告をONにした状態です。赤く表示されている箇所が白飛びしている箇所です。

OFFは、撮影時の白背景が均一に飛んでいそうな雰囲気ですが、ONにすると左から右にかけて階調が残っているのがわかります。

このようにハイライトクリッピング警告(白飛び)を使うことで、画面上で露出を測ることもできるわけです。数値的に左右1/2段分程の違いがあります。

写真の黒潰れ部分を確認する

ハイライトクリッピング警告(白飛び)では、光の当たり具合を確認する露出計のような利用もできました。黒潰れはRawの醍醐味である階調の復元に注目です。

白飛びと同様に黒潰れの画像を比較してみましょう。左がOFFの状態、右がONの状態です。

Before
After


白飛びと同じくほぼ真っ暗だと思う部分の一部しか黒潰れ(青く表示された部分)していません。

白飛びと黒潰れのRaw現像による色の復元について

白飛びと黒潰れの違いについて、露出を上げて(明るく)撮影するハイキー撮影と、露出を下げて(暗く)撮影するローキー撮影があります。Raw現像するのならアンダー気味のローキー撮影する意味を説明します。

shirokuro.jpg

上記の画像を見るとハイキー撮影の復元できる色域が制限されています。白飛びは、Rawデータの現像でも白(255)以外の情報を保有していないため、それ以下に復元することができません。要は、白(255)は白(255)の状態しか現像できないという意味です。しかし、アンダーで撮影したRawデータは、黒(0)から白(255)までの階調で復元できます。但し、ローキーによる撮影は、復元時にノイズによる劣化は避けられません。極端にアンダーな撮影ではなく、高品質で意図した写真にするには、適正な露出で撮影することベストです。

比較で用いた画像は、黒潰れしていて見た目はほぼ真っ暗な状態ですが、Raw現像してアンダーの部分を復元すると下記の状態になります。

Before
After


真っ暗な部分から、背景が復元されました。これは合成ではなく、ヒストグラムを調整したRawの現像です。

Rawデータは、プリセットを利用する推奨環境と画像加工についてでも説明したように保有する色数がJPEGと違って圧倒的に多いため、ローキーで撮ってもこのように復元することができます。Rawデータ(現像)の撮影は、基本アンダー気味で設定するのはこれが理由です。(特に明暗差が大きくハイライトが強い場合は露出を下げて撮影するのはこういうこと)

ちなみに、アンダーで撮影したJPEGデータを現像しても暗い部分の情報はほぼなくRawデータのように復元するのは不可能に近いです。写真から復元される情報を隠すためにあえて黒潰れにする時にも使えます。(白飛びでも同じように使えます)

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